コミュニケーション能力-講座の軌跡44 ルサンチマン
・ルサンチマン
引きこもりを初めて半年、私は哲学と出会い、ソクラテスの考えに触れ、哲学に魅了されていきました。哲学書を読み進めると、ニーチェという哲学者の存在を知りました。ニーチェは1800年代中期~後期の哲学者で、キリスト教を批判した異端児です。最後は気が狂って死んでしまうことで有名です。
だいたい哲学者ってまともな死に方しないんですよね(苦笑)
ニーチェの哲学の中で雷を打たれたような衝撃をうけたのが「ルサンチマン」という概念です。ルサンチマンとは、一言でいうと、
強いものへの嫉妬、怒り
を意味します。ニーチェはルサンチマン、すなわち強いものへの嫉妬心を持つこを否定しました。嫉妬心から人間は幸せになることができない。これを克服ししなくてはならないということを訴えました。
・社会への怒りが消えていく
私は大学受験に失敗し、会計士試験に落ちて、就職活動もできず、社会から見放された状況にあると考えていました。社会的に孤立をしても、誰も助けてくれない、どうして自分ばかりこんなに苦労するのか?こんな社会はどうしようもない。と考えていました。
飲み会で活躍するイケメンや、高学歴でルックスもいい人を見つけては、劣等感を感じて、イライラしてしまい、嫉妬心の塊になっていました。良い会社に就職が決まった人が嫌いでした。若くして社会的に成功した起業家にも嫉妬していました。強い人が没落すると、うれしいと思う自分がいました。
しかし、ニーチェに言わせれば、そういった強者に対する怒りは、ルサンチマンであり、負け犬根性なのです。負け犬根性は自分自身を苦しめているだけだと訴えたのです。確かに社会に対する反抗心を持ったところで、私は幸せでもなんでもありませんでした。イライラと怒りが募り、マイナスの感情に支配されていました。
・自分の物差しを作れ!
絶対的な価値観のない世の中だとどうしても不安になるので、社会的な価値観で今の自分がどこにいるのかを測りたくなります。しかし、それは弱い人間のすることだとニーチェは言います。なんら絶対的な価値がない世の中で、最後は、自分なりの価値観を作る、その価値観に基づいて行動しなさい。
「自分の物差しを作れ」
とニーチェは訴えました。
会計士に落ちる、引きこもりになる、視線恐怖になる・・・これらはダメなことだと考えていました。どこに行っても馬鹿される気がしてそんな社会に対してルサンチマンをもっていました。
しかし、「自分自身でいまの状況が本当にダメなのか?」しっかり考えたことはありませんでした。社会が考えた「引きこもりはダメだ」という価値観に依存して判断しているだけだったのです。
・自分で考えろ!
ニーチェに言わせれば自分で作り出していない価値観にすがることは弱い人間のすることなのです。最後は自分で考えなくてはならないのです。私は「自分で考える」ということを強く意識するようになりました。
私はニーチェのおかげで、「自分で考える」ということを大事にするようになりました。もちろん社会から提示される価値観は大事なのですが、それを土台にした上で、自分はどうしたいのか?どうなりたいのか?を自分で考えるようになっていきました。
哲学はおもしろい。
ますますおもしろい。
ニートで引きこもりの私は
哲学の勉強を続けました。
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