コミュニケーション能力-講座の軌跡103 就職活動編21 トンネルの出口にあったもの
引きこもりから脱出した私は、是が非でも入社したい!と感じる会社を見つけました。1次面接では30枚の企画書をプレゼンし、2次面接では自分改造計画をプレゼンしました。就職活動で企画書を出す方はそこまで多くないはずです。私は今まで勉強したことを全て搾り出し、精一杯アピールをしました。やりきったという感覚がありました。あとは結果を待つのみとなりました。
・過去を振り返る
私は3階の屋根裏部屋に引きこもり、ぼけっとしながら、連絡を待っていました。季節はもう冬になっていました。何もする気が起きませんでした。私は暖かい布団の中にくるまりながら、過去のことを思い出していました。
高校1年生頃から人が怖くなってきたこと
赤面恐怖、視線恐怖、表情恐怖になったこと
爪噛みが止まらなくなってしまったこと
卒業後も就職もせず、半年間完全に引きこもったこと
ペットボトルにおしっこをするまで追い込まれたこと
はっきりと死を意識したこと
結果が出てこなかった人生ではありました。それでも踏ん張ってコミュニケーションの練習をして、ここまで来れた事に幾ばくかの充実感を覚えていました。
・パソコンの画面の7文字
自分を慰めながら合否のメールをまっていました。
緊張はしていました。不安はありました。
もしかしたら合格をもらえるかもしれない。
いやいや期待してはいけない。
就職がそんなに早く決まるわけがない。
布団にくるまりながら、様々な感情がぐるぐると回っていました。
そしてついにデスクトップパソコンの画面に知らせが届いたのです。
「出社日について」
こんにちは。○○社の有賀です。川島さんの情熱に部長ともども圧倒されました。ぜひ川島さんに弊社にいらっしゃって頂きたいと存じます。早速ではありますが、来社可能な日をお伝えください。
このメールを見た瞬間、腰の骨がなくなってしまったかと思うぐらい、全身から力が抜けていくことを感じました。100キロの荷物を背負って数年歩き続け、やっとそれを目的地に届けることができたような感覚でしょうか。
僕はもうフリーターでもないし、引きこもりでもないんだ!
「正社員」
という響きが何より嬉しかったのです。ひきこもりであったときは何をしているの?と聞かれるのが怖かった。人と話すときに立場を聞かれるのが本当に嫌だった。
これからは会社に勤めているとと言える。やっとスタートラインに立てたんだ。胸を張って社会の一員になることができたと言えるんだ。体中の苦労してきた細胞が喜んでいるように感じました。
そうか・・・
僕は正社員になることができるんだ・・・
そうかあ・・・正社員か・・・
私は「正社員」という言葉を何度も頭の中で繰り返しました。
・両親への報告
夕方母親が帰ってくると、私は「内定決まったよ」と告げました。「ええ~よかったじゃない。」母親は本当に嬉しそうにしていました。母親とご飯を食べていると、どんな会社なのか?興味深々で聞いてきました。
父親が帰ってくる時間になりました。
いつもの私であれば、屋根裏部屋に引きこもり、終日父親と顔を合わせないようにしていました。しかしその日はリビングに残り、父親と会うなり、「内定決まったよ」と父親に告げました。可愛げのないぶっきらぼうな言い方でした。ですが本当は心の底は嬉しくて仕方がありませんでした。
父親の顔は普段眉間に皺が寄っています。団塊世代で九州生まれのためか、いつも頑固で厳しい顔をしています。というより、私は何一つ嬉しい報告をできなかったためそのような顔を創ってしまったのかもしれません。父もどんな顔をしていいのか?わからなかったのだと思います。
しかし、そんな父の雨の寄せた顔がほころんでいることがわかりました。「そうか。よかったな」少ない言葉ですが、久しぶりに父親から褒められた気がしました。父親に前向きな報告ができたのは生まれてはじめてだったかもしれない。父親が喜んでいる姿が本当に嬉しかったのです。
長いトンネルの出口にたどり着いたら笑顔の父親がいた。そんな感覚がありました。
続く
(就職活動編は次回がラストです)
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