コミュニケーション能力コラム37 はじめやすく 続けやすく 辞めやすく 戻りやすく ①
コミュニケーション能力コラム37 はじめやすく 続けやすく 辞めやすく 戻りやすく ①
・講座の長期コミュニティ化
ダイコミュを初めて10年以上が経ちました。当初のコミュニケーション講座は7カ月で完結する講座を考えていました。しかし、実際に開催してみると、長期的に学びたい生徒さんが多く、段々と継続的に練習する場所へと変化していきました。
「講座」というより、長期的に通える「ジム」「寺子屋」「道場」に近い場所に変わってきています。
当初から私はコミュニティを意識しているわけではありませんでした。しかし、経験的に、ダイコミュの大きな特徴は、「健全なコミュニティと学習」にあることが分かってきました。
対人コミュニケーションは生の人間関係があってはじめて血肉化されていくものです。そのため、短期的な関係ではなく、継続して人間関係を築き学習していく方が、成果が出やすいと感じています。
・健全なコミュニティとは何か?
繰り返しになりますが、コミュニケーション能力の獲得には「健全なコミュニティと学習」がカギであるようです。
では健全なコミュニティとは何か?
この点、慶應義塾大学院健康マネジメント大学研究院の、岡先生の研究は非常に興味深いものです。岡先生は「自殺率が一番低い町」について研究をされました。以下「生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある 2013 講談社」の引用となります。
・徳島県旧海部町の自殺率
岡先生は徳島県下45市町村の1973年から、30年間のデータを精査されました。その結果、自殺率が一番低い町は徳島県旧海部町であると主張しています。
人口10万人あたりの自殺率
*海部町→8.7人
*東京都→20人前後
*秋田県→30人前後
この数字は全国の市町村の中で1番です(島を除く)。
・徳島県旧海部町のコミュニティの特徴
ではどうして海部町は自殺率が低いのでしょうか?調査した結果、以下の特徴があるようです。
① いろんな人がいてOk
海部町では意見を自由に出す文化があるようです。例えば赤羽募金について議論をしたとします。すると、反対意見を言う人が出てくるのです。ボランティアについて反対意見を出すのは、勇気が必要です。しかし、海部町では信頼関係が出来ているので、自由に意見を言い合う文化が醸成されているのです。
② 人物本位である
肩書や年収、社会的立場、家柄はあまり重要ではなく、考え方や問題解決力が評価される土壌がある。
③ どうせ自分なんて・・・と考えない
海部町では自殺率が高い市町村に比べて、「政府を動かす力ある」という感覚を2倍程度持っていることがわかったそうです。すなわち、1人1人の力が重要であり、主体的に世の中を変えていけるという感覚を持っているのです。
④ 病市に出せ(やまい いちにだせ)
元気がないときは、どうも恥ずかしいと思ってしまうものです。しかし海部町では心に病を抱えることをあまり隠そうとしません。精神科の受診率もとても高いのです。体調が悪くなったり元気がなくなったら積極的に、みんなで助け合う土壌ができているようです。
⑤ ゆるやかにつながる
隣人同士の関係で粘着的なものはなく、ゆるやかにつながっているどうです、日常的に密着して関わることは他の市町村よりも少なく、自分のことは自分でする。ただ、「あいさつ」「立ち話」などは積極的という特徴があるようです。
絆の強さはそこまで必要ではなく、ゆるく適度に流動的につながっているという特徴があるようです。
・ダイコミュはどうか?
このコミュニティの在り方は非常に参考になると感じています。結果論ですがダイコミュのコミュニティはこの5つに当てはまる気がしています。
① いろんな人がいてOk
もともとコミュニケーションが苦手という前提があるため、わりとお互いのキャラクターを受け止めている
② 人物本位である
肩書などを重視する人は少ない。中卒も高卒も、院卒も、弁護士も、会計士も無職も対等な空気感がある。肩書よりも、素のキャラクターが重視される。
③ どうせ自分なんてと考えない
講座に参加した当初は③に当てはまる方は多い。ただ長期的に通うと徐々に③が減ってくるように感じます。主体的に行動する方が増えてきます。
④ 病市に出せ
個人差があるが元気がない時にわりとみんな悩みを打ち明けてている。
⑤ ゆるやかにつながる
突然やめたり、突然戻ってきたり、良い意味でだらだらとつながっている。
このような特徴があると思います。当初想定したわけでなく、帰納法的に試行錯誤していたらいつのまにか、このようなコミュニティに帰着していました。
5つの条件が完全に満たされていないと感じる生徒さんもいらっしゃると思いますが、概ね方向性は同じと感じています。
ではこれからダイコミュの講座・コミュニティをどのような哲学で創っていくのか?次回のコラムで考えていきます。
続く