コミュニケーション能力-講座の軌跡130 起業迷走編 徘徊する無職
独立をしようと会社員を辞めた私ですが、肝心の何をするか?がまだ決まっていない状態でした。そこでまずは「1円を稼ぐ」ということを目標にすることにしました。
1円を稼ぐことを決めた私は、改めて商売のタネを探すため、足を使って「リサーチ」することにしました。机の上での勉強には飽き飽きしていました。実際に足を動かして、自営業の方の表情やノウハウを目の当たりにして考えることにしたのです。
いや・・・正確にはどうすれば良いかわからずパニックになっていたとも言えます。家にいても暗い気持ちになるだけなので、とにかく町に出ることにしたのです。
・御互いを喜ばせあう社会
まずは中央線の高尾からはじめました。駅を降りて売店で何が売られているのか見ていきます。町中に入って小さな商店を見ていく。丁寧に1つ1つ商品をみていきました。同じことを八王子、立川、国分寺と繰り返していく。
中央線が終わったら、山手線の町を見ていく、山手線が終わったら西武線を見ていく・・・そんなことを繰り返しました。
・ラーメン屋のおじさん
町を徘徊している時に、小さなラーメン屋を見つけました。ラーメン屋を始めるには、初期投資が必要となります。家賃100万円、内装300万、機材200万、少なく見積もっても600万円はかかります。
ラーメン屋のおっちゃんは、そうした身銭を切って、人生をかけたラーメンを食べてもらい、喜んでもらっている。そこに行きつくまでにたくさんの苦労や勇気やお金が必要だったのだろうと容易に想像できます。
ただ散歩して、「リサーチ」という横文字を並べて、何もできずに指をくわえて歩いている私に比べ、そのおっちゃんが、すごい人に見えて仕方がありませんでした。
・支え合う社会
それにしても社会というのは本当に様々な職種によって成り立っている事に気が付きます。道路を創る人もいれば、花を売る人もいる、ご飯を創る人もいれば、看板を創る人もいる、物を運んでくれる人がいる・・・単純ですが誰か1人欠けてしまうと社会は回らなくなってしまいます。
独立とか自営業とか会社員とか、関係なく、「仕事ってすごいことなんだな。みんな誰かに喜びを創って生きているんだな。」と実感しました。
・1円の売り上げ=1円の喜び
自分には何ができるのか・・・1円を稼ぐと言っても、いざ現実を目の前にすると、とてつもなく難しいことがわかります。1円を頂くには、1円分、誰かに喜んでもらわなくてはならないわけです。
しかし、いくら経営学、会計学を勉強しても、勉強しているようで、勉強していなかった。経営学とか会計学の形だけ勉強していて、誰かに喜んでもらう何かを本気で考えるということを切実に考えていなかった。そう痛烈に実感しました。
・気が付けば10日無為にすごす
結果的に10日ぐらい無為に過ごしてしまいました。10日、町を徘徊しても、何一つ前に進まない・・・10日もあって売上はありません。
1円分ですら誰かを喜ばせることができない。
とてもではないですが、起業家と言える状態ではありません。ただ無職になって町を散歩しているだけの無意味な存在でした。あるとき、町を周っている自分の姿がショウインドウに反射して見えることがありました。顔は精気が無く、存在がうつろでした。
結局お前は口だけ男・・・
土台無理なことなんだよ・・・
また今日も無駄な1日を過ごしたね・・・
という内的自己会話をはじめる自分がいます。 自分で仕事を創るということがこんなにも難しいことなのか?私は独立という難しさを全身で感じました。
私の徘徊はさらに数日続きました。日数が経つにつれ、電車賃も馬鹿にならない額になってきましたし、精神的にもどんどん追い込まれていきました。しかし、新宿を徘徊していたある日、いびつな一歩となる出来事に遭遇することになるのです。
つづく
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私川島達史は元引きこもりニートです。対人恐怖の克服体験、起業について執筆中です。対人恐怖の克服、どうして引きこもりがコミュニケーション講座を創ったのか?興味がある方は是非ご一読ください。
・軽度対人恐怖時代 1~32
・引きこもりピークに 33~56
・フリーター時代 57~82
・2年間の会社員時代 83~128
・起業ニート時代 129~187
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