コミュニケーション能力-講座の軌跡76 迷惑と心を守る ジレンマ
・怒られるとわかっている電話
引きこもりから喫茶店のバイトを始めた私ですが、ある日、極度に人が怖くなり、アルバイトが始まる時間にも関わらず、出勤することを拒否してしまいました。開店間際になると、店長から電話がかかってきました。
私は極度に緊張しました。怒りながら電話をかけている店長の顔が目に浮かびます。いっそ電話に出ないでおきたいと感じました。10秒ぐらいは電話に出ることができませんでした。
しかし、事情だけは説明しないと・・・と思い直し、怒られるとわかっている電話になんとか出たのです。
・店長とのやりとり
「もしもし川島君?」
「・・・はい。」
「もう開店なんだけど・・・30分遅刻しているよ!
何時にこれるの?」
「・・・いや・・・今日はいけないんです・・・」
「どういうこと?誰か一人こないだけで、お店が回らないことは
わかるよね。」
「はい・・・わかります・・・」
「必ずきてください。今どこにいるの?」
「・・・いま国分寺です。でもどうしてもいけないのです・・・」
「どうして?」
・対人恐怖症を隠していた
実は私は、引きこもりをはじめてから誰にも対人恐怖症であることを告げていませんでした。家族にも彼女にも誰にも言ったことがなかったのです。弱い自分をさらけ出すことができす、人が怖いという感覚があることを誰にも言うことができていませんでした。
お店を休む理由として、「親戚に不幸があった」「体調がわるい」と嘘をつくことは可能でした。しかし、ただでさえアルバイトをドタキャンしただけでも重罪を背負っています。この上、嘘を重ねることはできないという感覚になりました。
なにより、苦しいという気持ちを誰かに理解してほしかったのかもしれません・・・。私は店長に対人恐怖症であることをはじめて告げることにしたのです。
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