川島ブログ 

コミュニケーション能力に関するブログを書いています。筆者は元引きこもり、ニート、現在はダイレクトコミュニケーションの講師をしている川島達史です。

コミュニケーション能力コラム42 適度な依存はOk?!

コミュニケーション能力コラム42 適度な依存はOk?!

 

 

先日精神保健福祉士2016年、国家試験を解いていたらこんな問題がありました。

 

 

「精神科リハビリテーションの基本原則において

 本人の依存を防いで自立を高める ○か✖か」 

 

 

 

 

答えは・・・・

 

 

 

 

 

 

でした。おそらく〇と回答をした方が多かったのではないでしょうか。国家試験で「依存はOK」って勇気のある問題だな~と解きながら感じていました。

 

 

依存について、ソーシャルワーク理論の第一人者であるアンソニーは、

 

「熟慮した上での依存は、逆に自立につながる」

 

と主張しています。

 

筑波大学の*小田教授は

 

「過度な自立は軋轢に繋がりやすい。

 適度に依存することは悪い事ではない」

 

と主張しています。

 

 

適度な依存は健康につながる

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私もアンソニーや小田教授と同じように適度な依存は必要なものだと考えています。

 

私の体験を述べますと、人生を通して、「自立しよう」と強く考えている時は、メンタルヘルスが明らかに悪かったです。例えば「起業」を志した当初、誰にも頼らず、自分一人でやり遂げるという精神状態でした。一見、立派ですが、苦しみをため込み、非常につらい状況でした。

 

しかし、会社が大きくなるにつれて、周りのサポートを受けることができるようになると、張りつめていた気持ちが緩やかになりました。

 

一人でやり遂げることが自立だと考えていたのですが、それは不可能であることが仕事を通してわかりました。「完全に自立なんてしなくていいんだ・・というか無理!」と考えるようになると、どこか気が楽になりました。

 

本当に困ったときは誰かに頼っても良いと考えると、結果的に安心して物事に取り組めました。また、1人で仕事をするよりも、パフォーマンスも上がったと思います。

 

 

・孤独Okは努力の放棄?

「孤独で良い 自分1人で完全に自立する」というアイデンティティを築いてしまうと、結果的にコミュニケーションの努力を放棄してしまう方が多いです。孤独でOkなのだから、基本的な人間関係を築く努力をしなくなってしまう。

 

誰かに頼ることが恥ずかしいという状況なので、悩みを打ち明けることができなくなり、メンタルヘルスも悪化していきます。 

 

 

・孤独と自由の関係

以前も書いたのですが、孤独でOkという価値観を構築する際に大きなよりどころとなるのが、「自由でいたいから」というモチベーションです(コミュニケーション能力コラム31 ジンメルと自由と孤独-2 - 川島ブログ)。

 

しかし、孤独というのは実は、自由なようで、不自由な生活になるので、QOLが下がっていくことが多いです。

 

 

・断捨離のデメリット

ダイコミュで卒業という概念をあまり使わないのも、緩くつながってもらうことで、コミュニティとしての自由度を持続させて欲しいという思いがあるからです。

 

お守り替わりに、受容的な空間を心の片隅においておくだけでも、少なくともマイナスにはならないでしょう。年に1回だけ、忘年会参加する・・・とか消極的な使い方でも、ないよりはあった方が自由度が上がりますからね。

 

昔断捨離が流行りましたが、個人的にはあまりお勧めしません。心理的にはスッキリするというメリットがありますが、それだけ自分の自由度が下がってしまうので、無理に断捨離するのではなく、自然の流れに任せるのが良いのかなと感じています。

 

人間関係が明らかに過剰になっている時は、断捨離もありかもしれないですが、頻繁に所属するコミュニティを変えたり、何度も人間関係を断捨離してしまう方は注意が必要です。

 

 

・ 甘え上手な方はメンタルヘルスが良好

では自立とは何か?私は自立というのは、誰かから与えられたものに対して感謝して、余力があるときはその分を社会に還元できるようになるという意味だと考えています。

 

甘えられるものには、思い切って甘えてしまって、しっかり回復する。無理はしないで苦労は分かち合う。回復したらその分を、周りの人や社会に返していけば良い・・・と考えています。それが依存し合う社会の中での健康的な自立なのではないかと感じています。

 

 

 

*孤独は実は深い概念で、積極的な孤独は悪い事ではないという

 研究もあります。その紹介はまた機会をみてしますね(^^)

 今回は、一般的な孤独をテーマに書いてみました。

 

 

参考文献

 「日本人の依存を精神分析する 大和書房2000」