コミュニケーション能力-講座の軌跡121 会社員編 好きだった先輩社員の退社
コミュニケーション能力-講座の軌跡121 会社員編 好きだった先輩社員の退社
引きこもりから脱出し、就職した私は、充実したサラリーマン生活を送っていました。そんなある日、営業の木下さんが担当している九州地区の売上が減少していることがわかりました。社長の怒りは強烈でした。木下さんは次第に追い詰められていきました。
ある日、木下さんが、満を持して「九州改善計画」という企画書を提出すると、社長はその書類をゴミのように投げてしまったのです。
・社長の怒り
「木下君!こんな書類を作っている暇が
あったら、さっさと営業にいきたまえ!」
社長の怒りの声が事務所内に響きました。
木下さんは返す言葉もなく自分の席に戻りました。
このときの木下さんの表情を私は忘れることができません。精気を失った顔で病人のようでした。顔は青ざめ、表情は完全に無くなっていました。絶望してたことがわかりました。
木下さんは間違いなくこの会社を愛していたと思います。入社当初から誰よりも元気に会社を盛り上げてくれていました。しかし、木下さんはそれから1か月後、会社を退社してしまいました。木下さんは本当に悔しかったと思います。
・成果主義の危険性
私は自分が作った指標の間違を確信しました。成果主義の指標を創ったのは私でした。会計上のデータに誤りはありません。会社という組織はたしかに数字が大事です。
しかし、数字だけで評価が決まってしまうことが果たして正しいのか?私は木下さんの退社を通して、そうではないと確信しました。木下さんは社交性もあり、考える力がある人材です。仕事も一生懸命していました。
もし数字があがらないとしたら、個人では対処不能な問題に巻き込まれているのかもしれない。社長が考案したビジネスモデルがそもそも間違っていたのかもしれない。
そういった数字には表れない部分は、全て切り捨てられてしまう。私の薄っぺらな人間理解。小頭を使った成果主義の指標は参考程度にしかならなかったのです。
もっと本質的な部分も評価する指標も加えるべきだった・・・
社長に導入する際に注意すればよかった・・・
私は自分の馬鹿さ加減にうんざりしてしまいました。
・コミュニケーションの大事さを痛感
たしかに正社員を雇うということは大変なことです。1人正社員を雇えば、社会保険料や電話回線、場所の確保など1000万円はかかってしまいます。社長も文字通り人生を賭けて事業にかけているわけです。借金の保証人になって、会社を支えているのは社長です。仕方のない面もあるとともいます。
しかし、絶対にお互いが納得いく落としどころがあったはずです。問題はコミュニケーションのあり方です。何が原因でどうすれば解決できるか?をもっと考えるべきだった。社長の目の前にいたのに、私は木下さんを守ることができなかった。傍観してしまった・・・と自分を責めるようになっていきました。
そうして、
どうすればもっとうまく
コミュニケーションができたのだろう・・・
どうすればお互いもっと理解できるのだろう・・・
再び私はコミュニケーションや心理学の問題に興味を持ち始めました。
・再び心理学の世界へ
目の前にある仕事は現状維持であれば惰性で仕事ができるようになっていました。入社当時の情熱がなくなってくると、会社帰りに仕事とは関係のないコミュニケーションに関する本を読むようになっていました。
さらには、仕事をしている時も心理学や哲学のことを考えるようになっていきました。ミスも多くなってきて、初歩ミスで社長から怒られることもありました。このままではいけないと考えつつも、どうしても仕事のモチベーションが上がらず、コミュニケーションの勉強ばかりしていたのです。
そうして鬱屈とした生活が続いたころ、久しぶりにうれしい出来事が起こりました。それは当時付き合っていた彼女に起こった出来事でした。その出来事によって私の独立への意識が加速していくことになります。
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