コミュニケーション能力-講座の軌跡198 あがり症編 パクパク
元引きこもりの私は、25歳の頃に400万円を貯め、コミュニケーション講座を開催することにしました。しかし、講義の冒頭、あがり過ぎて固まってしまったのです!
どれぐらいあがり続けたのでしょうか。
あっけにとられる生徒さんとの間に、形容しがたい空気が流れました。時間感覚がなくなり、ふわふわと浮いているような気持です。
そうしてあがり続けていると・・・
少しずつ変化が出てきました。
自分が自分でないような感覚だったのが、自分が自分である感覚が戻ってきたのです。
依然として、あがっていることには変わりはないのですが、少しだけ脱力して、照れ笑いぐらいはできるようになっていきました。
私は照れ笑いをしながら、パクパクと呼吸を続けました。だんだんと酸素を取り戻して落ち着いていきます。
あがりのピークがそう長く続くわけではなく、数分である程度の所まで戻すことができるようです。ずっと全力疾走するのが難しいように、あがり続けるのは逆に難しいのです。
私の体も幸運?にもピークのあがりを乗り越え、*ラングとパロールを使う準備が整いはじめたのです。ソシュール先生、僕にもラングが使えるようになってきました!
私は洞穴の底から辛うじて聞こえてくるような小さな声で話はじめました。
す、すいません・・・・
こ、今日初回の講義で緊張してしまって・・・
は、はじめまして・・・
私の名前は川島達史といいます。
・・・・
私は、人生最大のあがりをどうにか突破することができたのです。そうして、ようやく用意してきた自己紹介をはじめたのです。
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*ソシュールは、言語(language ランガージ)には、ラング(langue)とパロール(parole)という二つの側面があると考えた。
ラングとは、ある言語社会の成員が共有する音声・語彙・文法の規則の総体(記号体系)である。パロールは、ラングが具体的に個人によって使用された実体である。
パロールは個人・場面によって異なり、言いよどみ、言い誤りなども含むため、ソシュールは言語学の研究はラングを対象とすべきであるとした。(出典:ARC Academy nihongokyoshi.co.jp/manbow/manbow.php?id=573&TAB=2)
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