川島ブログ 

コミュニケーション能力に関するブログを書いています。筆者は元引きこもり、ニート、現在はダイレクトコミュニケーションの講師をしている川島達史です。

コミュニケーション能力-講座の軌跡72  皿洗いマシーン

コミュニケーション能力-講座の軌跡72  皿洗いマシーン

 

 

・筋肉笑顔

引きこもりからフリータになった私は新宿伊勢丹の近くの激混みの喫茶店で働き始めました。喫茶店の業務は主に5つありました。レジ、案内係担当、フード作成、ドリンク作成、皿洗いです。

 

新人はドリンクを覚えさせられることが多く、最初はドリンクを一生懸命、作成しました。お客さんがお店に入ってきたら元気よく、いらっしゃいませ叫び、「カフェラテです」と笑顔でドリンクを提供しなくてはなりません。

 

接客の基本は笑顔であると考えていた私は、慣れない笑顔を克服する練習だと考えて、無理やり笑顔を作っていました。しかし、内面は焦りと不安だらけだったので、心からの笑顔ではありません。マイナスの気持ちを無理やり抑えた、筋肉のみの笑顔は自分でも非常に違和感があることがわかりました。

 

 

・無駄に笑わないで!

よほど、私の笑顔が不気味だったのでしょう。つたないキテレツな接客態度をみた店長が、

 

 

「川島くん無駄に笑わないで。」

 

 

と強い口調で叱ったのです。私は「笑顔」が大事だと考えていたのに、笑顔を禁止されてしまったのです。もはやどんな顔をして接客をすればいいのかわからなくなってしまいました。

 

 パニックになり、その日は表情が強張ったまま接客をすることになりました。店長は私の異変を察知したのか、次のバイトの日から皿洗いに回されることになりました。

 

皿洗いは私がバイトをした中で最も過酷でした。というのも皿洗いの持ち場はサウナのような灼熱地獄だったのです。喫茶店の食器は大型の食器洗い機で一気に洗います。さらに皿洗いの小部屋にはクーラーなどありません。蒸し風呂状態の小部屋に8時間もいると、体重が2キロ痩せたこともありました。おかげですばらしいダイエットになりました。

 

 

・みじめな皿洗いマシーン 

皿洗いというのは人にもよるかもしれませんが、複雑な心境になる仕事です。人目に触れることなく、ひたすら若い男女の食べ残しを洗い続ける。お洒落をして恋の話を楽しんでいる女の子。

 

高そうな洋服を身に纏い談笑している若いカップル。私はと言うと、誰の目にも触れないところで安い賃金でひたすら皿洗い。自分と世間との差を感じ、とても惨めな気持ちになりました。

 

ただ言い訳ばかりをしてルサンチマン(ルサンチマンについてはこちら)を発揮していてもなんの解決にもなりません。これは引きこもりの時代に自覚していました。妬みや嫉妬は幸せな人生の天敵なのです。

 

私は自分の中で気持ちを整理して冷静になりました。そして行動療法的に、まずは朝の試飲会での雑談を成立させることを目標にすることにしました。

 

 

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