コミュニケーション能力-講座の軌跡102 就職活動編20 逃げることをやめた
コミュニケーション能力-講座の軌跡102 就職活動編20 逃げることをやめた
引きこもりから脱出した私は、是が非でも入社したい!と感じる会社を見つけました。面接はなんとか1次を突破し、2次面接に進むことになりました。2次面接は社長面接でした。
・紳士的な社長
「コツ コツ コツ」と革靴の音がしてきました。その音は格調高く品の良さが伝わってきました。それは雑多な会社とは不釣り合いな品の良さでした。
そしてついに社長が面接会場に入ってきました。年齢は70歳ぐらい、清潔な髪型でとても整った顔をしていました。ゆったりとした雰囲気から、若いころはさぞかし、モテだろう・・・と想像させる風貌をしていました。
ギラギラした雰囲気とは無縁の清潔感のある紳士だったのです。私は心からほっとしました。社長の容姿をみた途端、落ち着いた気持ちになってしまいました。
私は、ゆっくりと自己紹介をはじめました。
・影武者
しかし、この社長が登場してから、どこか私は違和感を感じるようになりました。というのも、社長は経営的な発言が1つもないのです。カドが取れていると言いますか、もう第一線には興味がないという印象です。
「ウムウム」
「う~ん。」
「ほっほっほ」
ぐらいしか話さないのです。完全に孫とおじいさんに会話になっています。
どうもこの会社は、「社長」は形骸化していて、「部長」が実質的な経営者なのではないかと感じるようになりました。後でわかったことですが、実は社長は影武者で、会社の全権は部長が握っていたのです。複雑な事情ですが、部長が社長を雇っている、というわけのわからない状態だったのです。
この現実は会計的に考えたときに非常に、合点が行く理由があったのです。さすがにまだその会社も元気に発展中なので、あと10年後ぐらいにそのカラクリについて書きたいと思います。
・最後の一押し
いよいよ大詰めになってきて、面接が終わる空気になってきました。私は最後の一押しで用意してきた自分改造計画を出しました。
川島
「すいません。また今日も書類を創ってきました。率直に申し上げて、おそらく私よりも優秀な方が面接に来ていると感じています。このままでは悔しいので、差別化を計る意味で、自分改造計画書を創ってきました。」
部長
「ほら!また創ってきた。きみはほんと面白いね。」
社長
「ほっほっほ」
川島
「ありがとうございます。おそらく、短期的に見れば確かに、USCPAの女性は優秀だと思いますし、そつなく仕事をされると思います。私は、客観的に見ても、あまり優秀ではありませんが、爆発力はあると考えています」
部長
「ふむふむ・・・」
川島
「毛並みの良い、優秀な人材を得るより、多少ギャンブル的要素はありますが、何かを発想したり、エネルギッシュに起業したいと思う若者を雇った方が、会社は元気になると思うのです。」
川島
「私は御社の環境に対する武骨な態度が好きです。部長のお話もとても面白いです。ぜひ御社で経験を積みたいと考えています。」
私は顔を真っ赤にして精いっぱいアピールを続けました。人生でここまで自分を売り込んだ瞬間は35年経った今でもないかもしれません。
アピールの最後に
「本当に御社で働きたいと考えています!よろしくお願いします!」
と頭を下げました。そうして2次面接が終わりました。
(やり切った)
という感情が全身を駆け巡っていました。面接会場を出ると、世界がワントーン明るくなっていたことを感じました。結果がどうあれ、自分を100%ぶつけることができたのです。
合格可能性はひいき目に見ても20%ぐらいだろうと感じていました。ですが自分に対しては納得感がありました。
私は会計士試験から逃げました
喫茶店のバイトも対人恐怖がぶり返し、
勤務日にも関わらず逃げてしまいました
コミュニケーションが苦手なので
大学生活で友人を創ることもありませんでした
起業すると言っているものの
結局はモラトリアムに逃げていました
自分を出すことを拒否し続けていました
ですが、初めて、逃げずにやり切った。という感覚が全身にみなぎっていました。それは不思議な感覚でした。むき出しの自分を出すことができた感覚といいますか。自分を守るために覆っていた鎧を初めて取ることができたような気がしたのです。
最終結果が出るのは3日後でした。
そして結果がわかるその日が来たのです。
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